最新ものじゃないけど

よく、連続ものの夢とか、同じ夢を繰り返しみることがありませんか? 前によくみた夢だけど、結構良い話っぽいのがあるから、ひさびさに夢日記にしておくことに。最近気になってしかたないんだよね。まぁ、こんな昔話みたいな夢ですよ。

夢の中の私は人間の姿形をしているが、どうもすこし人間ではない存在のようだ。そのことに自覚もあって、それなりに生活している。かなり長い旅の末にたどり着いた場所で心と体を休めてこの世との別れを惜しんでいるらしい。どうやら、かなり古代のできごとのようで、私以外の人のみなりはかなり質素だ。気候はとても温暖で過ごしやすい。水が美しくとても和やかな場所だ。
私が住んでいる場所というのは、人里近くの山の中で、周りはかなりの木々に囲まれたところである。木々といっても古代の木のようで、根のあたりはかなり波打っている。屋久杉の根元を連想してもらえばなんとなくイメージできるかもしれない。あるいは、富士の樹海を彷彿とさせるかもしれないが、もっとそれぞれの木々が密集している。到底人の通れる場所ではない。唯一私の家に通じる道には立派な鎧をまとい、手にはなぎなたと思しき武器を持った番人がおり、一般の人の出入りを制限している。みな私に親切でとても尊敬してくれるが、心のふれ合いが少く私の中の孤独は深まるばかりだ。それでも、なにか充足感がある。何か大きな仕事を成し遂げたあとなのであろう。
私の家というのは朱塗りの柱をたて、その間にすだれをかけたような作りをしている。私一人で過ごすには充分過ぎるくらいの広さがあり、すだれ越しに見える景色はとても美しい。食事は何日に一度という割合でとっているようだ。ふもとの村人が時おり立派な魚をとっては料理してくれる、それが私の食事だ。これがとてもうまい。村人の作ってくれた酒、多少の野菜とともに村人と食事を楽しむ。これが唯一の村人との心の交流で、私が楽しみにしているもっとも満たされた時間のようだ。
この、恵まれているようで、どことなく孤独な環境で私はのんびりと時間を過ごしている。どこか心にすき間があってさびしいが、それ以上にこれからやることに、そして旅であった出来事の整理に心をさいている。そして、村人との会食で聞いた村の問題の解決にも頭を悩ませている。
そんな何かが欠けたような生活を重ねている私のもとに、ある日思わぬ訪問者が訪れる。どうやらふもとの村人の一人のようだが、表玄関ではなく信じられないことに森のほうからやってくるのである。しかも、まだうら若い娘さんで年のころは今でいう17−18才といった風情である。
彼女は木々の間からこぼれる光の中からあらわれた。すだれ越しに見える木々と彼女の姿はまるで美しい一枚の絵のようだった。私が家の中から顔をだし彼女に声をかけると彼女はいくばくかの果物を差し出した。良くあの森をぬけてここまで来たものだと感心する私に、彼女は屈託のない笑顔で「どうってことない」と答える。どうやら、門番を出し抜いて私のところに来てしまった彼女を「村の人に叱られるんじゃないか」と心配する私に、彼女は持ってきた果物を早く食べろと催促する。言われるがままに果物を口にする。ひさびさに口にする果物は美味で甘く、ほんのりとした酸味をともなっていた。夢中になって食べている私をよそに彼女はうれしそうにしながらも「また、持ってくるから食べて」と言い残しながらも、これまた嬉しそうにしながら森のなかへと消えていった。
それが最初の出会いであった。彼女の訪問は何度も続く。いく度かは門番に見付かって、村人たちにひどいお仕置きもうけたようだった。それでも彼女はあししげく私のもとを訪問してくれた。気がつくと私は彼女はいつくるのだろうとソワソワしながら待つようになっていた。
彼女は周りの村人たちのように私と一線をひくこともなく、私と対等に話をしてくれる。少しばかり乱暴な口調も私を対等の人間として扱ってくれているようでとても心地良い。得意の木登りも教えてくれるのだが、彼女はスルスルと先に登ってしまう。あまりに彼女の木登りがうますぎて私は全く学習できない。私はなかなか木登りが上達しない。そんな私を彼女はとても愛しいという目であたたかく見守ってくれた。私は彼女の木登りの腕前に感心し尊敬した。そして、何があってもくじけない彼女から多くを学んだ。
くわえて、彼女からはいつも甘くとても良い香りがした。そのことを彼女に告げると「このところ水浴びもできていないからあんまり匂いを嗅がないでくれ」と怒られるのだが、私は彼女の香りが大好きだった。怒られても怒られるのが嬉しくてまた香りを楽しんでしまう。又怒られる。そんなことも繰り返したりした。彼女とは屈託のない時間を過ごした。彼女に会う度に私の心は癒されていった。
そんなある日のことである。彼女に「木登りも教えたし、いっぱい果物ももってきたし、ひとつ願いを聞いてほしい」と告げられる。私は木登りを教えてもらったことも、果物をたくさんもらったことも、彼女にとっては「どうってことない」ことだと解かっていた。きっと、言い訳が欲しかったのだろうと思った。だからこう答えた「君の願いだったらなんでも聞くよ。なんだったら他の願いもかなえるために君のために命懸けではげむよ」と。彼女は願いはたったひとつでいいと答える。しかし、彼女の願いは私にとっては少々残酷なものであった。
彼女は私の子供が欲しいという。しかし、私は人間ではないし、彼女との間に子供ができないことは解かっていた。そして、私は他の人間のように男女のまぐわいで快感を得られるものではないことも重々承知していた。さらに、その快感を得られないことが人間にとってはとても傷つくことだということも知っていた。
私は彼女を傷つけまいと自分の正体のことを話す。しかし、彼女はいうことを聞いてくれない。それどころか「どこからどうみたって、あんたは人間だよ。私のことは心配しないでいいから、ともかくはやく子供をくれ。また門番にみつかるとひどい目に合う」と私を押し切ってしまう。
結局押し切られた私は彼女とまぐわうのだが、全てを演技だの神通力のようなもので乗り切ってしまう。人間としての機能の欠けている自分にはこれしかなかったのだ。そして、それが私にできる彼女への唯一の恩返しだった。
がしかし、ことのあとに私の中でとてつもない罪悪感が生まれる。そのまぐあいは私が彼女についた最初で最後の嘘であった。とてもとても大事な人との大事なまぐわいが嘘で満たされなければならなかったことに涙がとまらなかった。泣き崩れる私に彼女は声をかけてくれる「ちゃんとできるじゃないか。私はとっても満足だ。きっと子供はできてるよ。いや、できている! 女の勘を信じろ! あんたは立派な人間だ! なにを気取っているのだ」と。でも、私は納得がいかない。そして、こう約束する。「次に今生で会うときは必ず完全な人間で君の前に現れる。そして、君と再びまぐあおう。こんどこそ、きちんと無礼のない本当の男と女になろう。もう、二度と君に無礼は働かない。こんどこそ、心のそこから君を愛そう、君に本当の喜びをあたえ、それを分かちあおう。約束だ」。彼女はすこし困惑した表情を見せる。そして「解かった。でも、私は満足できたんだけどな。まぁ、いい。君がそうしたければ、そうしてくれ。私はまた君に会えるのだったらそれが嬉しい。でも、あまり無理はしないでくれ」と言うと門番に見付かるのを恐れるように、でも体を気遣いながらそそくさと森の中へを消えていった。
これを最後に彼女は私のもとに現れなくなった。本当に子供ができたのか、それとも何か別の理由があったのかは私には知ることもできなかった。そして、私は最期の時を迎えこの世から旅立つのである、その胸には何千年かかっても果たさなければならない約束を秘めて。

以上が夢の内容。良い話じゃ。1年近く前によくみた夢だと思う。季節がまた思い出させてくれた。まぁ、あれだけ無理な木登り、山登りしてもらったのに、無理せんわけにはいかんわな。と、今になって思う。
まぁ、いい話だと思った。だからここに書いておいた。まとめるの大変だったけどw ほかにもよく見た良い夢には虎の夢なんかもあります。気が向いたら書きますわ。

追記:そうそう、木登りは一応できるようになってましたよ。彼女ほどじゃないけど。あと、私は結構な年月生きたみたいだけど、あまり歳くった風体はしてないようでした。不思議な夢だね。